box/箱

ミルクと豆とクッキー

箱が好きだ。いろんな物をつめては戸棚に並べて行く、そして戸棚もいつの間にか箱になって行く。そうやって箱の大きさは徐々に大きくなって行く。タバコの箱にも自分のドローイングを書いてはオリジナルの箱を作って行く。いつの間にか部屋にいろいろな物をつめては、つめ方を考える。自分の癖だ。きっとこれは小さな頃に茶道を習いに鎌倉へ毎月第二土曜朝早く通っていた事が影響しているんだと思う。季節ごとに変わる床の間の絵、庭の草木には花が咲き色を変え茶室と言う箱を飾る。美術に興味を出した頃に、一番に好きになった作家も『ジョセフ・コーネル』箱の作家だった。そして気づけば舞台を観ていた『ピナ・バウシュ』『ウイリアムフォーサイス』『田中民』観るだけでは足りなくて、関わっていつの間にか舞台にも立っていた。きっと小さな箱みたいな空間が好きなんだろう。
今はと言えば写真に少しばかり触れ始めた。これはなんだか不思議だけれど、箱に入らなかった物を一生懸命に箱に入れている気持ちだ。例えばおいしそうな物だったり、気になる風景だったり。自分にも観れない物が観れるのは、虫眼鏡で手のひらを観ている気持ち。そうそう山中信夫の写真が好きだ。自分の撮った写真には自分では見えなかった細かい所や動体視力の付いて行けない物まで見えてくる。しかし彼のピンホールカメラで撮られた写真には自分が見ているような風景が在って、なんだか安心する。それはただボケた写真なのかも知れないのだけれど、眼鏡な自分は印象派の気持ちがよくわかる!というやつだ。
ちなみに彼はピンホールカメラを使った作品を作り続けていた作家で、写真家というよりも美術家だったのだと思う。そして1982年ここニューヨークで35歳の若さで亡くなった。『ピンホールでいく!』と決意した矢先だったそうだ。なにわともあれ写真にいろいろ詰め込むのがこの頃楽しい♪