陶芸家と芸術家

ルーシー・リーの生涯はまるで物語のようである。オーストリアで生まれ育ち、戦争とともにイギリスへ、その後イギリス人として生涯を終えるまで、彼女の回りには数多くの友人が、仲間がいた。そして何度か取り上げた『Bimini Glass』の経営者で、詩人のフリッツ・ランプルは何度も助力を尽くした。その一例がイギリスに移住したころ、金銭的に困難な生活を送っていた彼女を、ボタン作りの仕事で助けたりした。これらのボタンはオートクチュール用として人気を集め、そこでアシスタントを必要とした彼女のもとを訪れたのが、ハンス・コパーであった。彫刻家を目指していたハンス・コパーはあっという間にろくろを覚え、ともに認め合い背中合わせに制作を行っていた。ルーシーは『ハンスは正真正銘の芸術家だけど、私はただの陶芸家よ』と言っていたそうだ。
そんな二人の展覧会がSOFAに出店していたロンドンのGalerie Bessonで行われていた。美術館などと違って、手に取る事が出来たのは非常に豊かな時間を過ごす事が出来た。また初期のオーストリア時代のものを手に取れたのは、ルーシーの足跡を追うようであった。そしてハンス・コパーの作品群がある。『形が面白い』前々から思ってはいたが、いろいろと小細工が、見えない所に味がある。好みである。形体の面白さに引き込まれたようだった。また、ギャラリーのオーナーであるAnita Bessonは作家たちとの時間を語ってくれた。実との出会い、人との出会い、と、忘れがたい一時だった。ロンドンで再会を。