Edvard Munch/エドヴァルト・ムンク

ムンク

ムンクの傑作窃盗事件からはや二年が経とうとしている。しかしながら小生あまりムンクの作品は目にした事が無かったもので、『叫び』『マドンナ』は知っていても、さっぱり!それもあって現在MOMAで行われているムンク展は非常に興味深いものでした。観に行く前の印象は『生と死を色濃く感じ、やんでる感じ』しかしながら実際に彼の絵画を目の前にして観ると、いろいろな事が見えて来た。
まず彼が絵を描くという行為は、精神的安息を得る場所としてあったように思えた。その裏には彼が幼い時に直面した母の死や恋愛のいざこざ、そして1902年に恋人との間で起きた銃暴発事件(これは彼にとって女性を受け入れがたいものへと追いやってしまう決定的事件であったようだ)彼の歴史は不安定そのもののように思えたと同時に筆に現れる感情豊かな表現力には驚かされた。ある肖像画を観た時にはまるで自分が肖像画の人物を知っているかのような感覚だった。そして1910年以降になると明るい色と生命力のある絵が目に入って来た。これは彼の精神的安定を表すものなのかもしれない。晩年になり筆のタッチはますます軽く鮮やかになったが、それでも生への不安、もしくはそれを受け入れたのかもしれないが、彼は生涯を通して『生と死』を凝視し続けていたと同時に、正面から我々に生と死の不安感を魅せ続けた画家なのだろう。
『叫び』は未だに犯人ともに見つかってはいない。どこかのお金持ちの家にでも掛かっているのだろうか?そして銃暴発事件で思い出したのだが、アンディー・ウォーホルの作品で拳銃で打ち抜かれたものがあったような、、、