Freedam From The Known

moorings2006-03-03

早速ティルマンスの展示を観に行って来た。場所はマンハッタンから2駅、クイーンズの外れにある古い建物を改装したビルである。今回PS.1では他にも『中国の映像の今』を見せる展示も行われている。中国の作家については近じか別の場で紹介したいと思っている。そして肝心のティルマンスの展示だが、一昨年、東京オペラシティーで行われたものの延長線上にあるもののようだ。作品は2000年、彼がターナー賞を獲った後に制作されたものが主で、ポートレイトや日常のさりげない風景を撮ったものなどは、今回展示されていない。それらの写真を観てみたかった分、少しがっかりしてしまった。が、収穫はあった。彼の事は『写真家』というイメージでしかなかったが、展示を見終わって感じているのは、彼は『絵描き』という言葉の方がしっくり来ることだ。なぜなら写真という媒体で絵を描いているようだからで、(もちろん皆言葉を変えればそう言えるのだが、、、)これまでも彼の作品には抽象的な部分はあったが、それが一層増し、絵画の歴史で言う約100年ほど前から起こり始めた抽象絵画を思わせる所がある。近年『フォトグラフ』というものが、『写真』としてではなく、『アート』として扱われる現状のなかで、彼は絵画の歴史で言う『抽象絵画』をフォトグラフの歴史に加えているように思うのだ。今後の彼の作品と、マーケットがどのような形で評価して行くか、楽しみである。

ちなみにこの後、『ホウィットニービエンナーレ2006』にも行って来た。報告は後日また!