Apartment 7

以前ダウンタウンのロフトに住んでいた時期がある。日本のロフトとは全く違い、倉庫のような広い空間で、天井は3m以上もある。その時住んでいた建物は180年以上前に建てられたものだった。所々に歴史を感じさせる風景があり、ヒーターを見れば、ペンキが塗られてしまっているものの、デコ調のきれいな彫刻が施されている。そこに住む人たちは、広い空間に自分で壁を建てたりして部屋を作り、生活している。自分の部屋やバスルームを壊して作り直したりしたものだ。今住んでいるところもダウンタウンであるが、数年前まではまだ少し危険な地域であったが、今や流行の地域となった。アパートはロフトのような広い所ではないが、90年以上経つ建物で、柱の装飾や、大理石の廊下には歴史を感じさせるものがたくさんある。そして昨日、定年を迎え、マイアミへ越して行った住人の部屋へ家具を貰いに行って来た。部屋にはまだ元住人の息づかいを感じるほどに生活感があった。しかしその風景には時が止まったような空気の乾きを感じた。まるで60年代の映画の中で見たようなアパートには、ロフトに住んでいた時にも感じた事のないNew Yorkらしさがあった。一つ上の階にあるその部屋には、猫が一匹今も主人の帰りを待っている。